吸収スペクトル/Absorption Spectrum

宝石の着色要因は複数考えられるが、宝石を通した光を「分光器」で観察し、スペクトラムのどの波長が吸収されているかによって、着色原因が分かることがある。特定の波長が吸収されて、黒っぽくなった帯や線を吸収スペクトル(absorption spectrum/spectra)と呼ぶ。

また、着色要因がクロムのルビーと赤いガラスのスペクトラムを見ると、クロム部分の吸収は似通っていても、全体的にはまったく異なる吸収スペクトルのパターンになるので、判別の一助にもなる。

例えば、エメラルドはレッド側に帯があり、580〜630nmにも特徴的な吸収スペクトルがある。バイオレット側の光もほぼ吸収されており、これはエメラルドの色の濃淡には左右されない。

ルビーもエメラルドと同じくクロムが着色原因だが、こちらは600〜500nm前後が、かなり黒く吸収されている。レッド側の3本線は石によって、明るく発光して見えたり、黒く見えたりする。

ブルーサファイアは450nm付近にはっきりと細い黒帯が見えるのが特徴。

参照:吸収なしのスペクトル、単位はnm
赤いガラス(クロム・スペクトル)
ルビー(クロム・スペクトル)
エメラルド(クロム・スペクトル)
ブルーサファイア(鉄・チタニウム・スペクトル)

上部に掲載した分光器とルビー、ライトの写真をのせている布は分かりやすいように青を使っているが、黒いものを利用した方が観察しやすい。

ちなみにOPL分光器で太陽光(直接見るのではなく空を見るように)や蛍光灯、白熱光などを見ると、それぞれの光に特徴があって面白い。フラウンホーファー線(太陽光の可視光スペクトルにある暗い線)もちゃんと見える。


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